腸と自律神経に効く、やさしい夜ヨガとお腹のリンパケア
朝晩の空気に少し冷たさを感じる季節。体は気づかないうちに、気温や湿度の変化に順応しようと頑張っています。
この“季節の変わり目”は、自律神経と胃腸の働きが乱れやすく、眠りのリズムにも影響が出やすい時期。
なんとなく寝つきが悪い、朝起きてもスッキリしない――そんなサインを感じたら、身体を内側からやさしく整えるタイミングです。
秋口の不調の多くは、「消化の滞り」や「自律神経の緊張」から生まれると言われています。
アーユルヴェーダでも、季節の移り変わりは「体内の風(ヴァータ)」が増える時期とされ、冷えや乾燥によって巡りが滞りがちに。だからこそ、「ねじる」「さする」「ゆるめる」といった、内臓にやさしく触れるケアが有効です。

夜ヨガ 『ねじりで内側をあたためる』
ねじりのポーズは、背骨のまわりの緊張をゆるませ、こわばった体と心をほぐしてくれるポーズです。
呼吸に合わせて行うことで、消化の働きを助け、滞ったリンパや血液の流れを。
また、「ねじって戻す」という動きそのものが、心と体のリセットにぴったり。一日の終わりに、たまった疲れや思考をほどくように、呼吸とともに体をゆるめていきましょう。
座ったねじりのポーズ
- 背筋をすっと伸ばして座ります。両足は軽くそろえ、肩の力を抜きましょう。
- 右足を左足の上に組みます。膝の上にのせても、足首をかけてもOK。楽な位置で大丈夫です。
- 息を吸いながら背を伸ばし、吐きながら上半身をゆっくり右へねじります。左手を右ももの外側に、右手を椅子の背に添えましょう。


- 目線もやさしく右後ろへ。3〜5呼吸ほどキープ。吸うたびに背が伸び、吐くたびに少しずつ深くねじられていくのを感じます。
- 息を吸いながら中央に戻り、足を組み替えて反対側も同様に。左足を上にして、ゆっくり左にねじります。
- 最後にお腹の上または、太ももの上に戻し、目を閉じて深呼吸。背骨まわりがゆるみ、体の芯があたたかくなっている感覚を味わいましょう。

仰向けのねじりのポーズ
- 仰向けになり、両膝を胸に抱えて呼吸をひとつ整えます。

- 吐く息で膝をゆっくり右へ倒し、顔は左に向けて。両肩は床に近づけ、背中から腰の伸びを感じましょう。
吸う息でお腹をふくらませ、吐く息でお腹がしぼむ感覚を味わいます。

- 1〜2分キープしたら、反対側へ。
- 両膝を抱えたまま、背中を左右にゆらし、余韻を味わいましょう。
背骨のひとつひとつが呼吸に合わせて動くように意識すると、背中の奥までじんわりとあたたまり、体の内側からぽかぽかとほどけていくような心地よさが広がります。
お腹のリンパケア:やさしく巡らせる、眠りの前の習慣
お腹は「第二の脳」とも呼ばれ、自律神経が多く集まる場所。ここをやさしく触れることは、神経を落ち着かせ、心を緩める効果があります。
寝る前の2〜3分でもOKです。手の温もりでお腹を包むだけで、体が安心モードに切り替わります。
お腹のリンパケア
- 両手をこすり合わせて温め、おへその下にそっと重ねます。手の重みを感じながら、深呼吸を3回。

- おへそのまわりを時計回りに、円を描くようになでます。これは腸の動きに沿った方向。強く押さず、皮膚をやさしく動かす程度でOKです。

- みぞおちからおへそ、わき腹へと手のひらをすべらせていきます。胃のあたりが張っている人は、呼吸を意識しながら特にゆっくりと。

- 最後に、下腹部からそけい部(足のつけ根)へ向かって両手でなで下ろします。ここがリンパの出口。流すように意識しましょう。

仕上げに両手でお腹全体を包み、ゆっくり円を描くように撫でます。
「今日も一日よく頑張ったね」と自分に語りかけるように。お腹がふんわり温かくなると、呼吸が深まり、まぶたも自然と重くなっていきます。
眠りへのスイッチをやさしく入れる
ねじりとリンパケアの共通点は、“頑張らない”こと。呼吸に合わせ、手のぬくもりにゆだねるだけで、体は自然と整います。
夜のケアを終えたら、白湯をひと口飲み、照明を落として静かな音楽や自然音に耳を傾けるのもおすすめです。季節の変わり目こそ、やさしく、自分に戻る時間を。優しい「ねじり」と「さすり」で、内側から整えて、深い眠りを迎えましょう。
金井千佳
睡眠ヨガインストラクター/ヨガニードラ・セラピスト
米国ヨガアライアンス認定指導者200時間修了。2016年からヨガ講師として活動を始め、2020年にオンラインクラス「きがるヨガ」を開講。頑張りすぎないヨガを伝えている。東京と淡路島でのデュアルライフを楽しみながら国内外でリトリートを企画。睡眠やヨガに関するコラムを執筆し、心地よい暮らしのヒントを提案している。司会者としても活動中。
































