「夜中にふと目が覚めてしまう」「そのまま眠れなくて困っている」・・・そんな悩みを抱える人は少なくありません。
中途覚醒は睡眠不足を引き起こし、放置すれば生活習慣病やうつ病リスクを高め、生活の質を損ないます。だからこそ原因を見極め、適切に対策することが大切です。今回は主な原因と対策を整理し、眠りの質を高めるヒントをご紹介します。
目次
1. 体内時計の乱れ
睡眠は「体内時計」が刻むリズムの影響を受けています。夜更かしや休日の寝だめ、就寝前のスマホ光はリズムを狂わせ、眠りを浅くします。
毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びましょう。日中は明るく夜は暗く、光のメリハリをつけると体内時計が整い、睡眠が深くなります。
2. お酒・タバコ・カフェイン
寝酒は寝つきを助けるように思えますが、アルコールが分解されると交感神経を刺激し、夜中の覚醒を増やす要因に。タバコのニコチンやカフェインも覚醒作用が強いので、夕方以降は控えましょう。
3. 必要以上に寝床で過ごしている
眠れないからと早めに布団に入って長時間ゴロゴロしてると、脳が「寝床=眠れない場所」と覚えてしまい、睡眠が浅くなります。眠気が来てから床に就き、寝床で過ごす時間を減らすと眠りの質が高まります。
4. ストレス
不安や悩みがあると交感神経が高ぶり、夜中に目覚めやすくなります。自然の中に身を置いたりカラオケで発散するなど、ストレスはこまめにリリースしましょう。中途覚醒したときは深呼吸すると再入眠しやすくなります。
5. 運動不足
体を動かさない日は眠気が弱く、睡眠も浅くなりがち。週3回以上運動している人は、中途覚醒が少ないという報告もあります。30分のウォーキング程度で十分です。日中は活動的に過ごして、夜の熟睡を生み出しましょう。
6. 体の冷え
体が冷えていると深部体温が十分に下がらず、睡眠が浅くなります。お風呂で体を温めたり、腹巻やレッグウォーマーを着用してみてください。腹巻でお腹を温めると膀胱が柔らかくなり尿を貯める量が増えるので、夜中にトイレに起きる回数が減ります。
7. 夕食の糖質
夜遅くの甘いスイーツや炭水化物の摂りすぎは、血糖値の乱高下を招き、中途覚醒の引き金になります。夕食は腹八分目、たんぱく質と野菜を中心にしましょう。食物繊維は血糖値を安定させる働きがあります。
8. 夜中にトイレに起きた時の光刺激
廊下やトイレで強い光を浴びると、脳が「朝だ」と勘違いします。常夜灯や間接照明で最小限の明かりを使い、できれば暖色系を選ぶと再び眠りに入りやすくなります。
9. 加齢による変化
年齢を重ねると深い眠りが減り、浅い眠りが増えるため、夜中に覚醒しやすくなります。男性は前立腺肥大による頻尿、女性はホルモン変化の影響も加わります。年を重ねるほど、よい睡眠習慣を取り入れることが大切です。
中途覚醒は誰にでも起こるものですが、体内時計のリズム、食事や運動の習慣、冷えや光の刺激、そして加齢による変化など、原因を一つひとつ見直していくことで改善は可能です。できるところから一歩ずつ取り組んでいきましょう。

三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。
著書に『『オトナ女子の不調と疲れに効く 眠りにいいこと100』(かんき出版)ほか多数。
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