快眠セラピスト・睡眠環境プランナー 三橋美穂の睡眠情報サイト
「新しい時代の眠り(コラム) 155. 「リベンジ夜更かし」でリベンジはできない」掲載されたコラムを転載した内容です。
「リベンジ夜更かし」という言葉を知っていますか? これは、日中に充実感や満足がないために、睡眠を削ってでも何かをして満足感を得ようとする行為のこと。
寝床でスマホを見続けたり、ゲームをしたり、映画を見たりして、つい寝るのが遅くなっている人は、ドキッとしたのではないでしょうか。
暗い寝床で見るスマホの光は刺激が強いため、体内時計を後退させたり、睡眠の質を低下させます。寝床にスマホは持ち込まないようアドバイスすると、
「それは無理!」
「わかってはいるんですけど…」
という答えが返ってきます。
私も会社員時代にやっていたので、気持ちはよくわかります。午前1時頃までネットサーフィンをしたり、深夜でもメールの着信があると気になって確認していました。
睡眠は6時間くらいとっていましたが、それは私にとって不十分でした。いつも体はだるく、仕事の生産性は下がり、残業が多く、気持ちは晴れず、満足のない日々を過ごしていたのです。
仕事ではそれなりの成果を上げていましたが、回りの評価を気にして根性でがんばっていたので、そこに歓びはなく、心身ともに疲れ果てていました。だからこそ、夜更かしから抜け出せなかったのです。リベンジ夜更かしでリベンジはできないことを、私は身をもって知っています。
抜け出したきっかけは、スマホをキッチンに置いて目覚ましアラームをセットしたことです。
以前の私は寝起きがわるく、2度寝、3度寝を繰り返していました。すっきり起きられる方法はないものかと考えていた時に閃いたのが、目覚まし代わりのスマホを遠くに置くことでした。
寝床スマホをしなくなったうえ、簡単に起きられるようになりました。自らの意思でONとOFFのメリハリをつけられていることが、自己肯定感の向上にもつながりました。
私がリベンジ夜更かしをしなくなったのは、充足とも関係しています。
本来、充足や満足とは内的なものです。
2000年に一度の時代の転換期を迎えている今、過去が参考にならず先が見えない中で、外側の達成に焦点を当てていると充実感がなく、リベンジ夜更かしの暴走を止められなくなります。
外側の目標に対して「どういう自分として取り組むか」、そこに焦点を当ててみましょう。
先日、オンラインセミナーを行ったとき、私は「人生の本質に目覚める場」という自分を創作していました。
睡眠を通して、これまでの古い価値観にパラダイムシフトが起きることを意図して話をしました。
でも、いつものような集中力がなく、「悪くはないけど、今一つだった」という自己評価が一瞬よぎりました。その思考をキャッチした時、
「わたしは私ができることをやった。取り組んでいる自分を、わたしは知っている。それでOK!」
という軽さと明るさで満たされました。
A)リベンジ夜更かし ⇒ 睡眠不足 ⇒ 体調不良 ⇒ パフォーマンス低下 ⇒ 残業増 ⇒ 不満足 ⇒ リベンジ夜更かし
B)早く寝る ⇒ 体調よし! ⇒ パフォーマンス向上 ⇒ 満足 ⇒ 早く寝る
あなたは、どちらを選択しますか?
リベンジ夜更かしは自傷行為ともいわれており、一見したメリットは刹那的な快楽だけで、その代償は計り知れません。
まず、7~8時間睡眠を1週間続けてみてください。気持ちに余裕を感じ、体調の変化に感動するはずです。
リベンジ夜更かしは、もう卒業!しっかり眠ってポジティブな思考を育み、内的な成長に取り組んでいきましょう。
三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。