理想的な一晩の寝返りの回数
一晩に寝返りを何回くらいしていると思いますか?
実はじっと動かないのが熟睡の証ではなく、意外と多いのです。
体幹の向きを変える大きな寝返りは20~30回、首を左右にコロコロ動かす小さな動作も入れると50~60回と言われています。これより極端に多すぎたり、少なすぎると睡眠の質に影響します。

なぜ寝返りが必要なのか?
寝返りの役割は大きく分けて3つあります。
1. 睡眠中の血行を促進する
じっと動かないと、マットレスと体の接触している血管が圧迫されて、血行が悪くなります。血液循環によって酸素や栄養が体の隅々に運ばれるため、寝返りしないと疲れがとれにくくなります。
2. 寝床内の温湿度を調整する
布団の中の温度は一年を通して温度約33℃、湿度50%程度が快眠の条件ですが、寝返りをしないと布団の中が蒸し暑くなってきます。すると熟睡に必要な深部体温の低下が妨げられ、睡眠が浅くなります。
3. 体のゆがみを整える
日中に立ち姿勢で過ごすことで、背骨や腰椎、椎間板に負担がかかり、ゆがみを生じます。睡眠中に横たわった状態で寝返りをしながら自由に動くことで、体のゆがみをリセットする効果もあると考えられています。

寝返りをする人としない人の違い
☑︎加齢・・・加齢によって筋力が低下したり体の可動域が狭くなると、寝返りの回数は減っていきます。運動や寝る前のストレッチを習慣にしましょう。
☑︎部屋が寒い・暑い・・・屋が寒いと寝床内に冷気の侵入を防ぐために、寝返りが減ります。暑すぎると体の蒸れを防ぐために、寝返りが増えます。暖房や冷房を適切に使いましょう。
☑︎パートナーや子ども、ペットと寝ている・・・隣に誰かが寝ていると、無意識下でもそちらに動かないようにしようとするので、寝返りが制限されます。一人1台のベッドで寝るようにしましょう。
☑︎寝具が合わない・・・マットレスが柔らかすぎる、または硬すぎる、枕が小さい、高すぎる、低すぎる、形が安定しないと、寝返りしにくくなります。

寝返りしやすいマットレスと枕の特徴
☑︎マットレス・・・全体が柔らかいと、寝返りするときに余分な力が必要になります。逆に硬すぎると筋肉が硬直して、寝返りしにくくなります。マットレスは表層が柔らかくて背中や腰のすき間がなく、リラックスして脱力しやすいこと。そして下層は硬めで体の力がスムーズに伝わるものだと、寝返りしやすくなります。
☑︎枕・・・60cm以上の幅があり、枕の真ん中が仰向け用に低め、両サイドが横向き用に高めになっているものを選びましょう。ただしサイドが極端に高いと寝返りしにくいので、そのバランスを見極めてください。

寝ても疲れが取れないのは、寝返りが原因かもしれません。 寝返りしやすい環境を整えて、睡眠の質を向上させましょう。

三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。