冬の朝、布団から出るのが辛かったり、日中もなんとなく眠気を感じたりすることはありませんか? 「自分だけが怠けているのではないか」と不安になる方もいるかもしれませんが、これは人間の生物学的な仕組みに基づいた自然な反応なのです。
今回は、冬に眠くなる科学的な理由と、健康を守るための理想的な睡眠のとり方について解説します。
目次
冬の眠気の鍵を握るのは「体温」と「光」
冬に睡眠時間が延びたり、眠気を感じやすくなったりするのには、主に3つの理由があります。
1. 冷感刺激による「質の低下」
質の高い睡眠には、体の内部の温度(深部体温)がスムーズに下がることが必要です。
しかし、冬は冷感刺激によって筋肉が収縮し、体が緊張状態になります。また、手足が冷えすぎると末端からの熱放散がうまくいかず、深部体温が十分に下がりきりません。
その結果、睡眠が浅くなり、その不足分を「睡眠量」で補おうとするため、眠る時間が長くなります。
2. 起床時の低い室温による「覚醒の遅れ」
人は目覚める前に深部体温を上昇させることで、活動準備を整えます
しかし、冬の朝は部屋の温度が低すぎるため、深部体温がスムーズに上がらず、脳や体が覚醒モードに切り替わりません。
これにより、目が覚めても強い眠気が残り、結果として布団から出られず睡眠時間が延びてしまうのです。
3. 日照時間の短縮と光暴露量不足
冬は夜が長く、日照時間が短いことも大きな要因です。眠気を誘うホルモン「メラトニン」は暗くなると分泌されます
冬は日没が早いため分泌開始が早まり、朝も暗い時間が長いため分泌が止まりにくくなります。
また、日光を浴びることで生成される、活動を高める「セロトニン」が冬場は不足しがちになり、日中の眠気や活動性の低下を招きます。
冬の長い睡眠は「良い」のか「悪い」のか
結論から言えば、冬に睡眠時間が30分程度長くなるのは、生理的に自然なことです。睡眠の浅さを、量で補っているのです。理想的な時間は一般的に7〜8時間が目安ですが、冬はこれにプラス30分程度であれば、体のリズムに合っていると言えます。
ただし、朝なかなか起きられない、日中の眠気が強いのであれば、生活習慣や睡眠環境を見直すとよいでしょう。
冬でも質の良い睡眠をとるためのコツ
「ただ長く寝る」のではなく、「深く眠ってスッキリ起きる」ための具体的なポイントを3つ紹介します。
1. 朝一番に「光」を取り込む
冬こそ、朝の光が重要です。起きたらすぐにカーテンを開け、窓際で太陽の光を浴びましょう。
曇りや雨の日でも、窓際に行くだけで室内よりずっと強い光を得られます。これにより体内時計がリセットされ、夜のメラトニン分泌がスムーズになります。
日の出前に起きる場合は、部屋の照明をできるだけ明るくしてください。通勤電車の窓際に立ったり、日向を歩いたりして、トータルの光暴露量も増やしましょう。
2. 入浴で「体温の落差」を作る
眠りにつく90分前までに入浴を済ませるのが理想的です。
40度前後のお湯に約15分浸かって、一時的に深部体温を上げましょう。
団に入る頃に急激に体温が下がり、深い眠りに入りやすくなります。
3. 寝室を「熟睡・覚醒しやすい温度」に保つ
冬の室温は18〜23度、湿度は40〜60%が理想です。部屋が寒いと睡眠が浅くなるうえ、目覚めも悪くなりがち。一晩中、暖房をつけておきましょう。
電気毛布を使う場合は、布団に入る前に温めておき、寝る直前にスイッチを切るようにします。「つけっぱなしにする」と、深部体温の低下を妨げるため逆効果です。
冬の長い夜は、本来、心と体を深く休めるための大切な時間です。光と体温を上手にコントロールして、冬ならではの穏やかな眠りを楽しんでみませんか。質のよい休息で、冬をよりアクティブに過ごせますように。
三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。






























