「夏、寝る時は何を着ればいいの?」
暑くて眠れない夜が増えると、多くの人が悩みます。Tシャツ1枚がいいのか、裸のほうが涼しいのか、冷房はつけっぱなしでいいのか…。
結論から言うと、令和の酷暑では「冷房を適切に使いながら、長袖・長ズボンで肌の露出を減らす」のが、睡眠の質という観点では理にかなっています。
「暑いのに長袖?」と思うかもしれません。しかし、現代の夏は、単純に“薄着にすれば快眠”できるは限りません。ポイントは「汗をうまく逃がし、冷えすぎを防ぎ、体温調節を安定させること」です。
目次
夏の快眠で重要なのは「体温コントロール」
人は眠る時、深部体温(体の内部の温度)を下げることで眠気をつくります。ところが夏は、外気温や湿度が高すぎて熱が逃げにくく、寝つきが悪くなります。
さらに、冷房を強くすると今度は体が冷えすぎる。特に朝方に冷えて、だるさや中途覚醒につながることもあります。
そこで重要になるのが、「汗を吸いながら、冷えすぎない服装」です。
夏の寝る時の服装は「長袖・長ズボン」が基本
現在の日本の夏は、夜でも室温30℃近くになることが珍しくありません。そのため、冷房を使うことを前提に考える必要があります。
おすすめはこちらです。
・薄手の長袖
・薄手の長ズボン
・ゆったりしたシルエット
・吸湿性・通気性が高い素材
長袖・長ズボンには、次のようなメリットがあります。
◎冷房による冷えすぎを防ぐ
エアコンをつけて薄着で寝ると、肩・お腹・脚が冷えやすくなります。肌を適度に覆うことで、体温が安定しやすくなります。
◎汗を吸ってベタつきを減らす
汗をかいても、布が吸湿してくれるため、不快感が減ります。裸で寝ると、汗が直接寝具につき、逆に蒸れやすくなることがあります。
◎自律神経が安定しやすい
冷えたり暑くなったりを繰り返すと、自律神経が過剰に働きます。適度に体を覆うことで、温度変化を緩やかにできます。
夏のパジャマ素材は「綿・麻・シルク」が優秀
快眠には「何を着るか」だけでなく、「どんな素材か」が非常に重要です
◎綿(コットン)
もっとも定番。吸湿性が高く、汗を吸いやすい素材です。肌ざわりもやさしく、敏感肌の人にも向いています
ただし、厚手だと熱がこもるため、夏は薄手がおすすめです。
◎麻(リネン)
夏に特に優秀なのが麻素材。通気性が高く、熱や湿気を逃がしやすいため、蒸し暑い夜でも比較的さらっと眠れます。
熱伝導率が高く“ひんやり感”もあり、接触冷感素材が苦手な人にも人気です。
◎シルク
吸湿性・放湿性に優れ、肌あたりもなめらか。冷えにくいため、冷房を使う環境と相性がよい素材です。
価格は高めですが、睡眠の質を重視する人には選択肢になります。
生地の「凹凸」が快適さを左右する
夏の寝具やパジャマでは、生地表面の凹凸も重要です。
例えば、
・楊柳(ようりゅう)
・ガーゼ
・しじら織り
・ワッフル生地
などは、肌との接触面積が減るため、汗をかいても張り付きにくくなります。
「薄いのに涼しくない服」と、「少し厚みがあっても快適な服」の差は、この構造によることも多いのです。
室温は25〜28℃が目安
夏の睡眠環境では、室温管理も重要です。
一般的には、25〜28℃程度が快適な範囲とされます。重要なのは、「我慢できる暑さ」ではなく、「寝返りしやすく、汗で目覚めにくい環境」をつくることです。
また、温度だけでなく湿度も重要です。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温が下がりません。
冷房をつければ湿度も下がりますが、除湿機能やサーキュレーターを併用すると、さらに体感温度を下げやすくなります。
服装だけでは限界。寝具選びも重要
「ちゃんとパジャマを選んでいるのに暑い」という場合、原因は寝具かもしれません。
特に夏は、背中の蒸れが睡眠の質を大きく下げます。
おすすめなのは、
・通気性のよい敷パッド
・麻素材のシーツやパッド
・接触冷感寝具
など。
特に麻の敷パッドは、涼感と吸湿性があり、背中のベタつきを減らしてくれます。室温を必要以上に下げなくても快適に眠りやすくなるため、冷えすぎ対策にもなります。
また、冷房環境では「羽毛肌掛け」も有効です。軽くて通気性があり、必要以上に熱をこもらせず、適度な保温ができます。
横向き寝は“夏向き”の寝姿勢
実は、寝姿勢も暑さ対策になります。
仰向けは背中がマットレスに密着しやすく、熱がこもりやすい姿勢です。一方、横向き寝は接地面積が減るため、熱を逃がしやすくなります。
さらに、抱きまくらを使うと、
・背中が開く
・わきの下に空間ができる
・脚の間に隙間ができる
ため、風が通りやすくなります。
結果として、蒸れ感が減り、寝苦しさの軽減につながります。
体圧分散性が向上するので、長時間横向きで快適に眠ることができます。
夏の快眠は「薄着」ではなく「バランス」
夏の睡眠で大切なのは、「とにかく薄着になる」ことではありません。
・冷房を適切に使う
・汗を吸う素材を選ぶ
・冷えすぎを防ぐ
・熱を逃がす寝具を使う
・蒸れにくい姿勢をとる
こうした“総合的な環境調整”が、睡眠の質を左右します
暑さを我慢して眠る時代ではなく、「どう快適に眠るか」を工夫する時代です。
夏の睡眠環境を整えることは、翌日の体調や集中力にも直結します。まずはパジャマと寝具の見直しから始めてみてください。
三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。







