快眠の為の環境作り
寝室は眠るだけの場所!

2023年12月7日

よい睡眠を得るためには、言うまでもなく寝室の環境は大事です。翌日のパフォーマンスに直結するといっても過言ではありません。
今回は、快眠のための環境づくりについてご紹介いたします。

◆温度・湿度の設定のポイント

温度と湿度は、睡眠に大きな影響を与えます。快眠のための寝室の温度は、夏は26℃以下、冬は16℃以上が最適と考えられます。(ひとによって違いが出るところなので、あくまで目安となります)。
湿度については夏・冬ともに50%〜60%と言われています。また、冬は温度20℃以上で湿度が50〜60%という状態が、1番インフルエンザにかかりにくいという報告があります。目が覚めたら喉が痛くて、「あれ、風邪ひいたかな」 という経験はありませんか?実は、インフルエンザや風邪は、寝ている時こそ注意が必要なのです。
睡眠中はどうしても口を開けたままになっていることがあり、かつ唾液も少なく乾いているため、細菌やウイルスが喉の粘膜にくっついて繁殖しやすいのです。快眠のためにも、風邪予防のためにも、温度と湿度の設定は重要です。

◆季節ごとの環境づくり

◇夏の快眠ポイント

・エアコンを使用 エアコンの風が直接肌に当たらないよう工夫する
・適温の部屋で長袖長ズボンのパジャマを着て寝る
・冷感素材の寝具をとりいれる

夏場は、ためらわずにエアコンを使うことをおすすめします。汗だくになりながら裸で寝るよりも、適温の部屋で長袖長ズボンのパジャマを着て寝るほうが吸湿発散性の面でもずっとよく、より深い眠りが期待できます。
ポイントは、エアコンの風が直接肌にあたらないように、エアコンの羽板を上向きに調整すること。首振り機能で90度上向きが可能な扇風機を併用すると、室内の空気が循環して、より快適な温度が保てます。ちなみに、私はこのタイプの扇風機を2台使用しています。また、冷感寝具などもありますので、暑がりな方はぜひ取り入れてみてください。シーツの素材を綿から麻に替えるだけでも涼しさが得られます。

◇冬の快眠ポイント

・前もって寝室をあたためておく
・湯たんぽや電気毛布は寝る30分前まで
・靴下を履いて寝るのはNG

冬場は前もって好みの温度に寝室を温めておき、加湿器も併用して快適な空間をつくっておきましょう。わが家では、とくに寒い夜は加湿器に加えて、布団乾燥機で布団の中を暖めています。そうすると、足先が冷えて眠れないということがなくなるからです。
ポイントは、寝る30分くらいまでにスイッチをきっておくこと。寝る直前まで温めた場合、布団の中が熱くなりすぎてしまいます。睡眠に入るには深部体温が下げることが必要ですが、布団の中が熱すぎると、体温を下げにくくなり入眠を妨げてしまうのです。
電気毛布も同様です。温めたままだと、深部体温が下がらずに寝つきがわるくなったり、就寝中に蒸れた状態となり睡眠の質を下げてしまいます。また靴下を履いて寝るのはNG。私たちが体温を下げるときには、手のひらと足の甲から放熱します。靴下を履いていると、足の甲からの放熱を妨げてしまい、体温がさがりにくくなります。就寝時に靴下を履いている方は、その習慣を今日から卒業しましょう。

◆香りを快眠の味方につける

・リラックスできる自分好みの香りを見つける
・香りを入眠時のナイトルーティンに
・専用機材がなくてもOK 枕カバーの裏側に数滴垂らす
(万一変色しても大丈夫な枕カバーをお使いください)

好きな香りに包まれていると幸せな気持ちになりますよね。「ああ、いい香り」と感じながら、心身ともにリラックスすることは安眠にも繋がると言えるでしょう。
寝室の香りを見つけて、その香りを嗅ぐことで脳が「もうすぐ寝るのね」と察し、眠くなってくるくらい習慣化できたらしめたものです。おすすめの香りは、リラックスして落ち着く沈静効果のある香り。具体的にあげると、ラベンダー、ベルガモット、レモングラス、ジャスミン、ゼラニウム、カモミール、サンダルウッド、フランキンセンス、イランイランなどです。とはいえ、好きでもない香りを寝室に持ち込むことは、かえって安眠を妨げます。あくまで自分の好みの香りを優先してください。

私が以前、ストレスで寝つきが悪かったときは、ラベンダーとベルガモットのアロマオイルをセレクト。少しズボラですが、枕カバーの裏側に数滴ずつかけて寝ていました。アロマディフューザーは、いくら洗っても香りが残ってしまうのであえて使っていません。専門の器具を用意しなくても充分香りを楽しむことができます。是非、お気に入りの寝室の香りを見つけてみてください。また、スギやヒノキは交感神経の働きを抑制するデータが出ています。アロマオイルだけでなく、寝室をこれらの木材に変更できたら最高ですね。

◆寝る前のブルーライトは快眠を奪う天敵!

・ブルーライトは脳が「今は日中だ」と勘違いしてしまう
・交感神経を刺激し睡眠の質をさげる
・快眠のための努力が無駄になる

夜にスマホの画面を見ると・・・。あちこちで言われているために「またか」と思われるかもしれませんが、寝る前にブルーライトを見たら、まず快眠はできないと思ったほうがいいでしょう。
ブルーライトは太陽の光にも含まれているため、画面を見ていると脳が「今は日中だ」と勘違いしてしまうのです。その結果、せっかく作られた快眠のための睡眠のホルモンであるメラトニンが減ってしまいます。その上、ブルーライトが網膜に当たるだけで交感神経を刺激し、睡眠の質に悪影響を及ぼすリスクが高まるのです。
今回ご紹介した快眠のための環境づくりをいくら頑張ってもその努力が無駄になってしまいます。もし快眠したいなら、寝室にはスマホを持ち込まないようにしましょう。スマホの充電は寝室離れた場所で行うのがベスト。スマホを目覚まし時計代わりにしている人は、目覚まし時計を用意しましょう。

このように、快眠のためにできることはいろいろありますが、大切なのは「寝室は眠るだけの場所」という認識を持ち、脳に擦りこむことです。
脳がそう覚えてくれれば、ベッドを見ただけで眠くなってきます。眠る場を大切にするだけでも、睡眠の質は確実によくなっていきます。

 

西川ユカコ/睡眠研究家

昭和西川株式会社 代表取締役副社長 「睡眠サービスコンソーシウム」理事
「ミス日本」ファイナリスト勉強会講師 NHK文化センター青山教室講師

雑誌編集者としてハースト婦人画報社に10年間勤務。現在は昭和西川副社長として、眠りの総合サロン「ムアツスリープラボ」をプロデュースし所長を務める。
また、各界の専門家と快眠のためのグッズ開発、ホテルや施設の睡眠やお昼寝監修、各種メディアへの寄稿などを行っている。

著書「最強の睡眠(SBクリエィティブ)」はAmazon脳神経科学・神経内科学部門で1位を獲得し、中国、韓国、香港、台湾、マカオなどでも翻訳版が発売中。
主な出演実績:NHK「あさイチ」、フジテレビ「めざましテレビ」「ノンストップ!」、FM東京「ブルーオーシャン」、J-WAVE「ゴールドラッシュ」、TBSラジオ「小森谷徹のFINE!」
婦人画報、GOETHE(ゲーテ)、週刊朝日、週刊現代、Forbes(フォーブス)UIA(マキア)など。クロワッサン、ELLE(エル)、FIGARO(フィガロ)、日経WOMAN、MAQ