知らなかった! ? 抱き枕の正しい使い方

2023年2月10日

本コラムは「快眠セラピスト・睡眠環境プランナー 三橋美穂の睡眠情報サイト
「新しい眠り(コラム)171. 入眠をサポートする抱き枕」に掲載されたコラムを転載した内容です。

先日お会いした男性が、こんなことを言っていました。

「目が覚めると抱き枕がベッドから落ちていて、上手く使えてないんですよ。
妻からは、使ってないなら処分してちょうだい。
大きくて邪魔だから・・・って言われているんです」

抱き枕がベッドから落ちているのは、正しい使い方です。抱き枕は横向きで入眠しやすくするために、普通の枕にプラスして、寝始めに使うものだからです。

質のよい睡眠は寝始めがもっとも深くなりますが、そのためのポイントがスムーズな入眠なのです。ベッドに入って20分以内に眠りにつくことが大切です。

寝入ってしまったら、抱き枕は必要ありません。睡眠中は筋肉が弛緩するので、使うのは最初の15~30分程度。あとは普通の枕で眠ります。途中で目覚めたときは、再入眠するために使ってください。

横向き姿勢で抱き枕に腕を乗せると、肩回りがゆるんで脱力しやすくなります。体の力が抜けると副交感神経の活動が高まるので、スムーズに入眠できるのです。

片腕の重さは体重の約8%といわれており、体重60kgの人なら4.8kgにもなります。5kgのお米が肩からぶら下がっているとイメージしてみてください。それを抱き枕が支えてくれるわけです。肩回りの緊張がほぐれてリラックスできるのは、納得ではないでしょうか。

また、腕の重みで胸が圧迫されるのを防ぐこともでき、呼吸がしやすくなります。初めて使った人は「抱き枕があると、こんなに快適なのか!」とみなさん感動します。

抱き枕は私も使っていて、自分自身でこだわって開発したものです。50代になって横向きで寝る時間が長くなり、抱き枕を使おうと思って探しましたが、欲しい機能を満たすものが市販されていませんでした。

腕を乗せる部分は20cmくらいの厚みと、30cm程度の幅がないと、腕を安定して置くことができません。逆に足を挟む部分が厚いと骨盤が開いてしまいます。腕を乗せる部分は厚く、足を挟む部分は薄くしてあるのが最大の特長です。

長さは120cmに設計しました。身長150cm以下なら長さ100cmでもいいかもしれませんが、抱き枕は短いと足で挟めないので、通常は120cm以上必要です。

ただし大きすぎると寝床の中で場所をとるし、掛け布団が浮いてすき間ができ、冬は冷気が入りやすくなります。身長に合わせて適切なサイズを選びましょう。

頭を乗せる部分がついている大きな抱き枕もありますが、そのままでは寝返りができないので、よく考えて選んでください。私はいろいろ試した結果、頭は乗せずに腕と足を安定させることに特化したほうが、使いやすいと思っています。

横向きで入眠する人は約半数と言われています。
ぜひ抱き枕をプラスして、スムーズな入眠に役立ててください。

快眠セラピスト抱き枕快眠セラピスト抱き枕

三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)

全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。

おすすめ特集季節に合った注目のアイテム